|
われわれが享受している現代西洋医学では、冷え性という病名も診断基準もない。しかし、実際には手足の冷えを訴える人は多く、65歳以上では6割、75歳以上では8割の人が冷えを訴えるというデータもある。高齢になるにつれて、生体機能が衰えるためである。特に女性に多く、更年期障害や生理不順などに伴い、自律神経のアンバランスも加わる。また、女性では骨盤内に子宮、卵巣などの臓器があり、下半身への血流が滞りやすい。
運動不足、体脂肪過多、過度の冷房、ストレス、薄着、身体を締め付ける下着、身体を冷やす飲み物、喫煙などが挙げられる。
肥満を警戒するあまりか、少なすぎる食物摂取、バランスを欠く食事などによる、新陳代謝低下による冷えもある。
冷え性は虚弱な人に多く、末梢での血液循環不全と水滞(水毒)が原因であると見なす。
|
| 三陰交(さんいんこう)に親指を強く押しすぎない力で押したり離したりする。片側を1〜3分押したら、反対側を同様に押す。 |
|
|
【民間療法】
民間では竹筒踏みなど、足裏への適度な刺激が冷え性改善に用いられる。足の三里への指圧なども効果的である。寝ている間、腹巻きなどで首を温めるのも効果がある。適度な運動は欠かせない。
◆冷たい部分を蒸しタオルで温める。
◆温水で頚部や下半身を温める。
◆膝から足首までの靴下。
◆冷水と温水の交互刺激。
【民間薬】
ショウガ、シソ、トウキ、トウガラシ、ショウブ、ヨモギなどが利用される。ショウガ、シソ、トウキは煎じ汁などを飲んで、血行を改善して身体を温める。風邪のひきはじめに、ショウガをおろし金でおろし、味噌汁や紅茶に入れて利用する方法は効果的である。シソやトウキの茎葉を適宜追加すると、より味もよく効果が大きい。トウガラシのエキスやチンキを適宜薄めて、皮膚につけると、熱感を与え血行を促す。足指に凍傷があるときに、トウガラシを靴下に入れて、患部を温めることも広く利用される。ショウブとヨモギは節供に浴用剤とされるが、身体を温めるもので、入手できるときにいつでも利用できる。
【漢方薬】
漢方医学では冷え性の治療を得意とする。
最も多く用いられる漢方薬は、当帰芍薬散で、色白で虚弱な女性の冷え性に用いられる。貧血を伴う冷え性には四物湯が用いられる。手足の冷えが強く、冷えのぼせ、頭痛、腹痛、下腹部痛を伴うと、湯経湯や当帰四逆呉しゅゆ生姜湯が用いられる。冷えと共に、疲労感、イライラ、めまい、その他の不定愁訴が認められるときには、桂枝伏苓丸が用いられる。夏の冷房による腰痛や下腹部痛を伴う冷え性には五積散が用いられる。冷え、下半身の脱力、腰痛、夜間頻尿、夕方のむくみ、朝の口内乾燥感などが認められる老人には、八味地黄丸が用いられる。
|